小川大地(電気通信大学)
2016年9月25日から27日,エンタテインメントコンピューティング2015(EC2015) が前半の2日間は札幌市教育文化会館にて,最終日は北海道大学学術交流会館にて開催されました.エンタテインメントコンピューティングシンポジウムは今年で第13回目,初の札幌開催でした.発表件数も満員御礼であり,そのことを裏付けるかのようにデモンストレーション発表では会場の至る場所,隅々で行われ,多くの新しいエンタテインメント体験と活発な議論されました.
私は「多感触ボタンによる触覚フィードバックのゲームコンテンツへの応用」というタイトルで2日目の26日にデモ発表を行いました.もはや一般的になりつつあるゲーム中の触覚フィードバックに対して単なる「ブルブル」といった振動ではなく以前開発したボタン型触覚インタフェースを用いて,より高品質な触覚フィードバックを行いゲームそのものの臨場感を高めるという発表をしました.他の参加者に体験してもらい,多くの議論をし,今後の大きなモチベーションとなりました.
口頭発表では2つのオーガナイズドセッションが行われました.特に興味深かかったのが1日目のSIGSHY(消極性研究会)によるセッションであり,日本人の特徴である内気さ、謙虚さなどの消極性に関する多くの研究が発表されました.このセッションで発表され,EC2015論文賞を受賞された津田塾大学の栗原さんの「Toolification of Games」では,三次元テトリ スをプレイするだけで 3D プリンタ用の三次元モデルをデザインできる Tetris 3D Modelerの例などを用いて非ゲーム性を持ったゲームミフィケーションの考察を行っていました.オーガナイズドセッションを積極的に開催してくれるのもECの醍醐味と思われます.
前回のEC2014と同様,ゲームデザイン研究者簗瀬さんによるオーガナイズゲームが行われ,最終日にはそれを統括するポストトーテムのセッションが用意され,エンタテインメントシンポジウムとして大いに賑わいました.また北海道開催ならではのカーリングセッションや,小学生向けプログラミングワークショップなど新しい試みがありました.
会場の周辺にある大通り公園では,毎年200万人規模の集客を誇る「さっぽろオータムフェスト2015」が開催され,私自身北海道の食を楽しみ,北海道全体を巻き込んだ学会となりました.
次回のEC開催は娯楽の街,大阪です.今後も積極的にエンタテインメント研究を世の中に広めていきたいと思います.