小泉直也(東京大学)

 

2015年12月11日(金),第38回 情報処理学会エンタテインメントコンピューティング 研究発表会が東京都港区のミッドタウン・タワー内にある ヤフー株式会社の中にあるセミナー室で開催されました。今回は企業内での研究会であり、プロジェクタ・ネットワーク・AV機器・机椅子等、企業の持つ充実したインフラをお借りしながら快適な研究会を行うことができました。


興味深い研究が多かった中でも,特に首都大学東京システムデザイン研究科インダストリアルアート学域の小手川さんたちによる,「スケートボード走行時における走行状態認識とLED発光パターンへの適用」が印象的でした.これはスケートボードにLEDとセンサを取り付け、速度・加速度・傾きを加速度センサと非接触光学センサで検知し、ユーザのスケートボード状態に応じた光を提示するものです。LEDを様々な道具に取り付けて光の演出をする研究は多くありますが、ストリート文化の安全性等も考慮している点が面白いと思いました。私は東京のお台場は研究室に通っており、ここは人工的に作られた平坦な土地であるため、夜道にスケートボードを楽しむ人や、スケートボードで通勤する人に出会うことがあります。この研究が発展し、こういった文化に溶け込んでいってくれることで、スケートボードがより安全で魅力的になることを期待しています。

 
招待講演としては、ヤフー株式会社の坂本竜基さんが「応用研究は実サービス化可能か」のタイトルでお話をされました。坂本さんは、研究所・大学・企業と複数の機関での研究経験のあり、その中での経験をお話されました。講演の最初にご自身の研究を紹介しながら「自由視点画像合成は私のライフワーク」と仰ったのちに、観光支援などの別の研究を紹介された上で、最後に再び自由視点画像合成を活用した実際のプロダクトの話が出てきました。好きな研究の成果を多くの人が使ってくれるサービスとして展開されるに至っていることが印象的でした。他にも質疑では企業が持つ大量の情報をどう大学等に解放し更なる進展を生み出すかなどの議論があり、大変刺激的な時間を過ごすことができました。